動悸息切れ・むくみ外来
動悸息切れ・むくみ外来
これらの症状は、心不全による症状の可能性があります。
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしていますが、心不全はこのポンプの働きに障害が生じ、息切れやむくみなどの症状を引き起こしてだんだん悪くなる病気です。原因は心筋梗塞、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈、心筋の炎症、全身の病気など様々です。つまり、心不全とは1つの病名ではなく、心血管病を含む色々な病気によって心臓の働きが低下した状態をいいます。
主な症状としては、体動時や夜寝ている時の息切れ、両足のむくみ、全身のだるさ・疲れやすさ、咳、頻脈、食欲不振などがあり、息切れは横になると悪化し、座ると良くなるという特徴があります。
日本は、世界の他の国と比べて類を見ない速さで高齢化が進んでおり、2040年には国民の3分の1が65歳以上になり、85歳以上の方は1000万人を超えると予想されています。心不全は、高齢になるほど発症する方が増える傾向があります。
これにともない、心不全患者さんの人数は年々急増しており、心不全パンデミックといわれ医療上の課題となっています。現在日本では約120万人が心不全になっていると推定され、2040年頃までは増え続けると予想されています。特に、心筋梗塞などの虚血性心臓病の方、高血圧や糖尿病をお持ちの高齢の方の心不全が増えており、注意が必要です。
心不全は、さきほどの症状のほか、血液検査のBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド、当院で迅速検査可能)あるいはNT-proBNPという項目や、心電図、エックス線、心エコーなどの画像検査で診断します。また、運動負荷検査で心不全とわかる場合もあります。
心不全には色々な分類がありますが、その1つが「急性心不全」と「慢性心不全」です。急性心不全は、短期間で強い息切れなどの症状が現れることから、緊急で入院が必要になったり、重症の場合、命を失う危険性が高くなったりします。一方、慢性心不全は、症状や心機能が比較的安定している場合や、悪化する場合でも月・年単位で少しずつ進む場合をいいます。
いずれにしても、明らかな、あるいは強い症状が出る前から早めに治療を始めた方が良いことが知られています。心臓の構造的な異常が出る前から、心不全の原因になりうる高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病をしっかりと治療することが大切です。
治療は薬物がメインになりますが、原因や病状によってはペースメーカー、心臓再同期療法、手術などの薬物以外の治療が必要になることがあります。また、悪化予防のために食事の塩分を控え、適度な運動を行うことも大切になってきます。
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