花粉症・アレルギー
花粉症・アレルギー
※基本的に15歳以上の方を拝見しておりますので、ご了承ください。
ダニやハウスダストなどが原因となる通年性アレルギーは季節に関係なくおこりますが、花粉症は一年中花粉が飛散しているわけではないため、季節性アレルギーとも呼ばれています。アレルギー性鼻炎・結膜炎の一種であり、スギやヒノキなどの花粉がアレルゲン(抗原)となって、目のかゆみ・異物感・充血、涙、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。
春先はスギ、ヒノキ、夏はイネ科、秋はブタクサなど、季節によって花粉の種類が異なりますが、複数の花粉にアレルギーをお持ちの方も少なくありません。また、近年は発症が低年齢化しており、以前までは少ないといわれていた小さいお子さんにもよくみられるようになっています。アレルギー性鼻炎があると鼻がつまって口呼吸になり、風邪もひきやすくなります。
鼻炎を放っておくと副鼻腔炎(ちくのう症)や気管支喘息の原因になることもあるので注意が必要です。
花粉症の症状は鼻水、くり返すくしゃみ、鼻づまりが3大症状です。ほかにも咳、のど・皮膚のかゆみ、口の中の腫れ、ひどい場合には頭痛、倦怠感、微熱、下痢、体や顔のほてりなどを伴うこともあります。
花粉症の方の中には、果物や生野菜を食べたあと、数分以内に唇、舌、口の中やのどにかゆみやしびれ、むくみなどが現れることがあります。これは、口腔アレルギー症候群と呼ばれており、花粉症の原因となるアレルゲンと、果物や野菜に含まれるアレルゲンが似ているために起きる現象です。花粉症の7~20%にこの口腔アレルギー症候群が合併するといわれています。
花粉症の診断は、医師による問診が主体になります。発症する時期、症状の内容と強さ、ほかのアレルギーの病気を持っているか、家族のアレルギー歴といった事柄を詳しくうかがいます。また、どのアレルゲンに対するアレルギーなのかを特定するために血液検査や皮膚テストを行います。
採血して、特定のアレルゲンに対するlgE抗体(特異的IgE抗体)を検出します。検査したいアレルゲンを一度に13項目まで選ぶことができます。一度にそれぞれ39項目、48項目のアレルゲンを調べられるVIEW39、MAST48などのセットもあります。
血液中のIgEの総量を測ります。不特定のアレルゲンへの反応の程度、つまりアレルギー体質かどうかを調べる検査です。
アレルゲンが含まれるエキスを皮膚に少量滴下後専用針で小さなキズをつけたり、エキスを皮内注射したりして、アレルギー反応を調べる検査です。アレルギーがある場合にはじんま疹が現れます。
花粉症の治療は、薬物療法、アレルゲン免疫療法、手術の3つがあります。同時に、原因となる花粉を回避する環境整備も大切になります。
薬物療法では鼻水を抑える抗ヒスタミン薬や、鼻の炎症を抑える点鼻ステロイド薬、鼻づまりをよくする作用があるロイコトリエン受容体拮抗薬などが用いられます。目の症状には、抗ヒスタミン点眼薬などが用いられます。花粉が飛びはじめる1週間ほど前から治療することをお勧めします。
なお、抗ヒスタミン薬は多くの種類があり、患者さんによって効く薬・効かない薬、副作用が強く出る薬・あまり出ない薬というように作用に個人差があります。医師と相談しながら、いくつかの抗ヒスタミン薬を試してみることが有効な場合もあります。アレルギー症状を楽にする漢方薬もあり、抗アレルギー薬と併用することも可能です。
アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因となるアレルゲンを投与していくことにより、アレルゲンに曝露された場合に引き起こされる症状を緩和する治療法です。上記の薬物療法(対症療法)と異なり、アレルギーの自然経過を改善することができる治療法です。
大きく分けて、皮下免疫療法と舌下免疫療法の2種類があり、当院では舌下免疫療法が可能です。スギまたはダニが原因であることを事前に検査で確認したうえで、錠剤を1日1回服用し、長期間(少なくとも3年間)治療を続けます。スギ花粉とダニに対する舌下錠を併用することも可能です。効果は半年後くらいから現れます。
舌下免疫療法はアナフィラキシーという強いアレルギー反応が出る場合や、治療を受けられない場合もありますので、よく医師とご相談ください。
じんま疹は、皮膚の一部が突然くっきりと赤く盛り上がり(膨疹)、数十分から数時間以内に跡形もなく消えるという特徴があります。たいていかゆみを伴いますが、チクチクとした感じや焼けるような感じになることもあります。発症して6週間以内を「急性じんま疹」、それ以上経過した場合を「慢性じんま疹」と呼びます。じんま疹はアレルギーが関係している場合と、物理的刺激、運動、疲労・ストレス、原因がわからない(特発性)などアレルギーが関係していない場合とがあります。
じんま疹の治療は、まず原因や悪化因子を探して、それらを取り除く、または避けるようにすることです。アレルギーが原因であれば、原因アレルゲンを避けるようにします。仕事や勉強などの過剰なストレスや不規則な生活を避けることも重要です。薬物治療は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの飲み薬や塗り薬が中心となります。
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